日本食

『義を見てせざるは勇なきなり』
お勤め先は終業後、帰宅してもよかったんですが敬愛する上司が監査前の帳票整理でてんやわんやだったので……。
黄金週間はつかの間帰郷してた仲間には会えませんでした。仕方ないです。義を捨てた自分には会っても嬉しくはないでしょう? そんなこんなを思いつつ。
数珠を片手のえろげーまー、神沢です。18禁はお好き?





http://www.nicovideo.jp/watch/sm3823629



言われてみればたしかに日本特有の品ですよね。
日本のカレーって、庶民の味で家庭の味。
歴史的に見てみれば肉じゃがと同じでかつての軍隊が発祥なのですが、
それが家庭に普及して発展していった品のひとつでもあります。



チビッコさんが大好きな料理に
カレー
ハンバーグ
スパゲティ
なんてのがありまして、まあ大人になっても大好きであることが多いのですけれども、かくいう自分も大好きですが、
どこで憶えた味なのかと考えると、お店ではなく、家庭の、お母さんの味なんじゃないかなあと思うのです。


まあ特に男子はこういうものには弱いので、
「男を捕まえたければ胃袋を掴め」なんて言われるくらいに食べ物には弱いです、古今東西日本の男性陣。



カレーって、
分類分けするとインド料理ですが、日本人としてはインド料理ってカテゴライズはしないですよね。
『洋食』
しかしながらその洋食、カレーにとんかつハンバーグ、ナポリタンにオムライスに海老フライ。


海外で食べようとすると、じつは、むつかしい。
ないんです。


なんと申しますか、
日本人の考える洋食とは日本食なんですね。
和食=日本食ではなく、
日本の食文化における平均的な食生活で出てくるもの。それが日本食



日本に来た外国の方に「日本に来て良かったところはどこですか?」と、お伺いすると、ほとんどの方は「食べ物がおいしい」と答えます。
コントのひとつに「日本食はヘルシーと聞くから進んで食べるんだ」と、和風に味付けしたサイコロステーキをがつがつ食べるアメリカ人なんてものがありますが、それがヘルシーかどうかはともかく、日本食といって差し支えがないのも事実です。
洋食に限ったことではなく、実際ラーメンも中華料理と思われてますが、大多数の日本人がイメージするあの品は中華料理にはありません。それどころか本場のあちらでは『日式(日本風の)拉麺』という名で扱われています。人気があるそうで。



うん、


これ、自分が昔やってた学問のうちのひとつなんです。比較文化っていう学問なのですが。比文は異なる二つの文化を観察してその違いについて掘り下げていく学問なのですが、今回の場合で言えば食文化ですね。
日本文化の特徴のひとつは、他文化からの価値観を受け入れて、それを自文化に取り込み、成長させていくことが挙げられます。


ちょっと敷居が高いジャンルでは仏教などが挙げられます。
仏教のオリジナルは2500年前のインドですが、
いろいろさまざまな道のりがありまして、現在の日本の仏教が成立しています。
お坊さんの着てるものや建物がインドとは違いますよね。それは仏教を日本文化が輸入して、独自に育てたから。



わかりやすいところでは……少々男子イズムにはなりますが、機械。
海外から取り入れたアイデアを独自に育て、組み合わせ、改良する。
ホンダ・ビートのエンジンルームを見た海外の技術者の方がその完成度の高さに「悪魔の所業だ(としか思えない)!」と漏らしたのはその関係の方の間では有名な話……らしいですよ? 詳しいことはよくわかりませんが。
別に喩えればソニーウォークマンでしょうか。重厚長大なものを軽薄短小に収めるという、コンパクト化の技術。(イマドキウォークマンというのも昭和じみた話ですが)
ああそうだ、
一番わかりやすいのは携帯電話ですね。
電話機本来の目的は通話なのですが、コミュニケーションツールとして発達させた日本文化、メール機能やインターネット機能を充実させて諸外国とは違う独自の文化を生み出しています。
(海外の人から見ると『日本の若い女の子達はずっと携帯電話を操作している、なぜだ、不思議だ』となるらしいです)



他文化からの取り入れ方と発展のさせ方、
それが秀でているのが日本文化です。


歴史の古くは遣隋使あたりから……に、なるのでしょうか。
他の文化圏が財宝などの物財を持って帰ってくるのが大多数だったのに対して、遣隋使は物財より巻物、書簡、組織作りのシステムや哲学、つまり文化を持って帰ってきました。国づくりの基本。


……まあ、こう書くといいことずくめなことばかりしてきたようなご先祖様にも思えるのですが、そうであるばかりとは限らない部分もあります。



散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がした明治初期。
追いつけ追い越せは富国強兵政策が叫ばれるその直前、
初めて知りました西洋文化のすばらしさ。


目の当たりにするものがあまりに素晴らしすぎて輝きすぎて、
今自分が手にしているものに心が配れなかったんですね。


西洋文化すげぇ! つかナニ今の俺たち。ダサくね?」


気持ちは理解るんですが、ご先祖様達はやっちゃいました。
伝統芸能の傑作を二束三文扱いで海外に安く売り飛ばすという行為に。
……当時の状況からしてみれば仕方なかったんだと思います。
いいものが安く買えたという点では諸外国にとってはいい買い物だったのでは。
なんにしろやっちゃったことなので今更大英博物館に「返してください」とは言えないですよね。



あと……軍事でも。


原子力潜水艦に核ミサイルを搭載する元ネタは日本です。
アメリカって、歴史上一度だけ本土を爆撃されたことがあって、
それ、日本です。(9・11はテロなので戦争行為ではありません)
潜水艦に飛行機を載せて、それで飛ばしたんです。
飛行機も潜水艦も日本オリジナルではない技術。その組み合わせ。
たいして戦果はあがらなかった(潜水艦に載せられるような飛行機に積める爆弾はせいぜい一つか二つです)覚えはあるのですが、
ものすごくびっくりしたでしょうね。
まさかあんな遠い島国からくるとは。
あっちができてこっちにできないことはない、と。


話し出すと戦争談義は航空兵力に先見の明があった日本の真珠湾攻撃とか、
そこで生まれた制空権という概念で東京を焼け野原にしたアメリカ軍とか、
今回はやめときます。別の機会に。



なにはともあれ、日本食のカレー。
(え? いきなりそこまで戻るの?)
(ええ、戻ります)


日本の食文化におけるカレーと、
他の食文化におけるカレーは、


まったくもって別のものです。


自分たちは何をどうしたって日本人ですから、
「日本人としてカレーを見る」のがあたりまえなんですよね。


「日本」の「洋食」
つまりそれは「日本食」日本の食べ物。


前述のニコニコ動画では「日本人のソウルフード」と喩えられてはいますが、
たしかに的確。


「今日はカレーでいいや」
その「カレーでいいや」という選択肢を持っていることが日本食の文化なのです。


常日頃身近にあるとその存在は軽視しがちなのですが、
失ってしまうとざっくり自分の中の何かが持って行かれることもありますので、身に覚えのある方は少しばかり心持ちの置き方を意識した方がよろしいのではないかと。



カレーに限ったことだけではなく。
大切なことは、
何を食べるかではなく、
誰と食べるかなんだと思うのです。


うん。