いただきます

上州名物、かかあ天下とからっ風。神沢です。



群馬の冬は上毛三山赤城山榛名山妙義山)から吹き下ろす風が強く、そして寒いものです。
そんな季節ともなりますとどうしても温かいモノが恋しくなってくるのでして、


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近場のうどん屋さんにて、けんちんうどんなる品をいただいてきました。
そういえばつい最近、「けんちん汁は郷土料理か」なる話題を身内としていまして。
うーん、イメージとしては北関東や東北などのいろり端でこしらえているイメージも。
どれどれ、


けんちん汁 - Wikipedia


ほほう、なるほど。
うーん、分けて考えれば確かにそういえなくもないかも知れませんが、
郷土料理と言うより精進料理だったんですね。
たしかに本日ちゅるちゅるとけんちんうどんをいただきながら、
「そういえばこれ……お肉入ってないです」
と、気付いたのですが。
「冬の根菜料理は体が温まっていいなあ」
と、ほくほくしながらいただいていました。



精進料理。


嫌いではないです。
しかしながら声高に大好きですと申し上げるほどの思いがあるわけでもないですね。
精進料理というのは宗教がらみ、仏教からのお話で、お坊さんは戒律で殺生が禁じられているから、その結果として生まれた料理だと考えています。
自分は仏教徒ではありますが、僧籍に身を置いているわけではないので、お肉でもお魚でも有り難くおいしくいただくべきだと考えています。


いただきますということ。


自分は春先から夏場を経て秋まで家庭菜園を趣味に持つのですが(冬は休耕)
「ご自身で丹誠込めて育てた作物を食べることに抵抗はありませんか?」
との問いをいただいたことがあります。
正直いいますと最初はありました。食べることへの抵抗。
土を耕して肥料を撒き土壌作りをして、苗を植え、支柱を立てて、定期的な草むしりに毎日の水やり。日に日に少しずつ育っていく作物を眺めるのは興味深く、そして楽しいものです。
そこでですね、菜食主義の方の主張にちょっと疑問がわいていたんですよ。
「人間側の都合で生き物の命を取るのはかわいそうなことだ」
……では植物に命はないのかと。
日に日に天に向かって、それこそ読んで字のごとく一生懸命に伸び続ける植物に命はないのかと。
実り自体だって、いくら人間が品種改良してきたとはいえ、元は植物が次の世代のためにその命を残すためのモノです。それを収穫して口に運ぶのは人間側の都合ではないかと。
件の問にはこのようにお答えさせていただきました。
「では、いただきますとはどういうことなのでしょうか」
まあ、『そもさん!』『せっぱ!』な禅問答ではありませんが、
食べるということは、さまざまな『もの』や『かたち』の『ご縁』、
そして『いのち』を『いただいて』いることに他ならないなあと感じたのです。
ですのでねー、
きちんとした理由の上に成り立つ菜食主義の方の言動ならそれは反論の余地はありませんが、なんと申しますか、いわゆる『暮らしおしゃれスタイル』みたいな態度での菜食主義の方にはちょっと疑問を持つのです。なんだか見た目だけいい格好をした畜産農家撲滅運動に見えてしまいます。


実際、僧籍にある方でも肉や魚はいただくそうです。
自分がよくこの場で話題に取り上げさせていただくお坊さん、蝉丸P。
「法事の席でのお呼ばれに肉や魚が出たらどうするんですか?」
との問いに、
「出された食事はお布施ですのですべて有り難くいただきます」
とのこと。
蝉丸P、お坊さんである以前に肉や魚がダメというややかわった(失礼)方なのですが、
そういった方でも、いただくそうなんですね。
考えてみれば戒律は戒律できちんと守るべきなのでしょうが、本来的な仏教の考え方からしてみれば、そういったお呼ばれの席ならば戒律うんぬんより「いただく」ことがあるべき姿なのかもと思いました。


いのちを考える。


そんなこんなが昨年一年間、
自分が家庭菜園をやり始めたり、
宗教を意識し始めたりして、
そうして見たり聞いたり感じたり、過ごした一年間。
そのうえで出した今年の抱負はひとつに、
『命を大事にする』
です。
「神沢さん、言葉ばかり立派だけど実際問題あなたは何をするんですか?」
できることから一歩ずつ。
まずは食べ残さない。
食事どころへ赴いて、ネタだからと食べきれないほどの注文をしない。
食べきる自信がないのならネタ系大盛りのお店に行かない。行っても注文しない。


そして食べ物はあらゆるご縁があって、その上で自分の口に運ばれるもの。
調理した方、生産した方のみならず、食材を運んだ方、収穫のための器具を生産された方、人間以外にも大地や陽光、季節などのご縁や恵みがあって、そこで成り立ちます。
コンビニおにぎり一つとってみてもどれだけの人間が、ご縁が、恵みが、そのおにぎり一つに関わっているのでしょうか。そう考えてみますととても無駄にはできません。



ですので、
今年の抱負といたしましては、


いただきますの一つ一つを大切にする。



そうありたいなと思うのです。






さーって、
お堅い話も書き終わりましたので買ってきたコミックス読もうっと。



うん。