やるんだったら全力で


「教えるったってねー。銃のこと知ってどうするの?」
「ヤクザはケンカのために、警察は脅しのために、殺人鬼は殺しのために銃を持ってる。私は仕事で人殺しするために銃を持ってる。つまり、あなたはいったい何がしたいの?ってこと」
羽生生純 『青【オールー】』より)


今日の日記は昨日の続きです。
ちょっと信じがたい入り口になっているのだけれど。
あ、これ以上銃の画像はないのでご希望の方は上の写真各自ご自由にお持ち帰りください。



「創作物にインスパイアされてそれが何かの行動のきっかけとなった」


そんなことはよくあることで、
まあ言ってしまえば同人活動での二次創作などはまさにそれに当たります。
ほかにも、『こち亀』の両さんに憧れて警官になったという方もあるでしょうし、『頭文字D』を読んだことが今の車を選ぶきっかけです、なんてのもわかりますよね。


手前味噌ですが、自分のサイトの雑記コーナーで見て○○が食べたくなったなんてのも同じことだと考えています。
もしそんなことがあったら自分としてはとてもうれしいしありがたいことだと思うのだけれど。



楽器を持つということ。
今回はそのお話です。


やっと昨日の日記からつながりますが、
たとえばアニメやマンガなどで出てきた楽器に興味を抱いて手に入れる。
それ自体は簡単なことです。
欲しかった品の所有者になるというのは、その瞬間には他の何にも代え難い喜びがあります。


その手に入れた楽器で何をしたいのか。


楽器ですから、手元にあるなら弾きたくなると思います。
銃なら撃ちたくなるだろうし、
車なら乗りたくなるのが当然。
当たり前ですよね。
もちろん、飾って鑑賞するのも、です。


楽器を弾くことは銃の引き金を引くほど簡単なことではありません。
実際自分にも簡単ではありませんでした。
だから、問われればこう答えるのです。『青【オールー】』の線子と同じように。


あなたはいったい何がしたいの?


作品の登場人物と同じ曲を弾きたいというのなら
弾いている曲についての知識が必要でしょう。
演奏するための技術が必要でしょう。
道具の取り扱いにも習熟が必要でしょう。
そして
それをやり遂げるための情熱が必要でしょう。
まずそこなんです。


作品や登場人物に対する好意や情熱に見合うか、
ひょっとしたらそれ以上を要求されます。
バイリンガルのキャラクターに憧れて外国語を一つマスターするようなものです。


それだけの覚悟や熱意があるのであれば背中の一つも押してあげられるのですが、
それまででないのであれば
「部屋に大きく豪華なインテリアが増えるだけ」と、
別の覚悟をしてください。


手厳しい言い方をしていますが、自分がその事実を知っているからこそ無責任な応援はできないのです。
弦の張り方もチューニングの仕方もTAB譜の読み方も教えて差し上げることはできます。
(初心者用教本なら準備段階として全部載っているはずですが)
ですが、弾くのは私ではないのです。その楽器の主である本人です。


思い通りにならない運指のいらいらを乗り越え、
何が書いてあるのか理解の難しいスコアを読み解き、
早く進めたいのに一向に進まない教本のページをめくり、
そうして初めて曲を紡ぎ出せるようになるのです。
(例:『けいおん!』2話で主人公がギターでチャルメラを弾き、周囲から「まだ全然練習してないの?」と言われていますが、あれですら初心者なら丸一日必要です)


それらを全部ふまえた上で
その一歩を踏み出すのなら


きっと新しい世界に出会えると思うんだ。





と、かっこよく締めくくって「そういえば俺コードバッキング全部マスターしないまま好きな曲だけ弾いてバイトの後輩にあげちゃったんだっけ」という過去を思い出した初夏の夜のこと。
うん。