ケ号作戦、一日目。

昨日夜に洗車したのですが、いやー、雨の夜に黒は映えますね。
……晴れている日にはあんまり見たくない車体色です。黒。神沢です。





「ケ号のケの字は捲土重来」
ということで本日は『ケ号作戦』実施です。
知人の実家建て替えに伴う荷物のお預かり作戦。


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我が子、ニッサン・エクストレイルはそこそこ積載力のあるワゴン車さんなので今回活躍していただくことに。
以前横浜から帰ってきたとき、この一台で引っ越ししたこともあるのでなんとなくやり方は記憶にあります。



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後部座席。
普段は仲間達を乗せて食事にでたりするのですが今回は収納することに。
しかし、この席で繰り広げられる会話は毎回濃厚度がすごいです。



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ぱたぱたっと。
手前に引き上げた座面を外すともう少し積載が望めるのですが、
今回の物量が不明なのでそこまではおこないません。
……外すのめんどうなのです。



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ひさびさにフルフラット。
今回は段ボール箱メインの輸送ということなのである程度はいけるかなあと。



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荷の滑り止めと車体保護のために養生をかけておきます。
実際にはあと数枚毛布を持参ですね。
積み込んだ荷の上にもかけます。



さて、そろそろ出かけます。
あ、今回相手方に「荷台フラットにしてお伺いします」と伝えたら、



http://www.nicovideo.jp/watch/sm1921287


フラットという繋がりでこの曲を思い出したとか。
……疲れてらっしゃるのでしょうか。ではいってきます。








さて戻ってきました、というわけで続きです。



目的地は埼玉の朝霞だったのですが、取り立てて急ぐ用事でもないので下道をのんびり行くことに。途中で済ませたい用事もありましたので。


あ、掲載する写真にはばらつきがあるのですが、撮ったり撮らなかったりしました。撮っても載せていなかったりします。


お伺い先は相手方の実家ということでささやかな手みやげを持参させていただくことに。梨です。自分の住む群馬県館林は隣町、明和は今の時期梨の産地として有名なのです。梨街道と名付けられた農園の直売所が並ぶ街道まであるくらいです。


実家で懇意にさせていただいている梨農園の方があったのでそちらにお伺い。
ええとですね、土地によって違うのかも知れませんが自分の地元では梨は農園の方から直接買います。
写真を撮ったのですが載せません。理由、場所が直売所兼個人宅の納屋だから。


「館林の神沢です」
「え? ああ、神沢さんとこの息子さん?」
「一箱お願いしたいんですけど」
「あー、今採ってくるからちょっと待ってて」
このリアルタイムさが直売ならではですね。
ご主人が収穫に向かっている間、女将さんと談話。


梨はおおむね夏から冬まで通して実るものなのだそうで、時期により銘柄が変わるのだそうです。
「ちょっと前まで幸水だったんだけどね、次は豊水で、ちょうど時期が狭間なんだよ」
もうちょっと前か、もうちょっと後だと時季としていいのだと。
ごろごろっと目の前に二つ、包丁とお皿を一緒に。
「それが幸水。食べてみな」
今手が汚れちゃってるから、自分で剥いてねとのこと。
包丁で二つに割って皮を剥き、しゃり。
「ん、みずみずしいですね」
「甘いでしょ、それが幸水
朝食がまだだったのでそのまま剥き進め、頂くことに。しゃりしゃり。
おかあさん元気? ええ、おかげさまで。
そんな話をしているとご主人が戻ってきて、
豊水だよー。ほら、色が赤いだろ。コレがうまくなった豊水の特徴」
たしかに、先ほどの幸水と違って表面の皮が赤みがかっています。
「えーっと、これ傷ついてるから、食べてみな」
目の前に出てきたのは傷が付いているといってもほんのわずかな穴が一つ。商品にしても遜色がなさそうです。
ありがたく、剥いて、しゃり。
「酸味があるだろ」
「ですね、さっきのとはまた違うっていうか」
幸水はね、甘いだけ。豊水は酸味があってんまい(群馬弁:うまい)んだ」
いえどっちもおいしいです。
酸味がある分豊水はちょっと大人向けかなあ、
幸水は冷やしていただいたらお子さんには喜ばれるかも、
そんなことを考えていたら、
「どのくらい持っていくんだい?」
ああ、そうです。買いに来たのでした。食べに来たわけではなく。
農園の直売は基本、箱売りです。段ボール箱
街道沿いの直売所では先ほど自分がいただいたような、
いわゆる「傷物」を袋詰めして安く販売してますが、それは処分な意味合いもあるので、正しくは箱売りが本来の姿です。
「どんな種類があるんですか?」
「5キロ、10キロ、15キロ、まあわかりやすくはコレ」
段ボール箱に入れる中仕切を見せていただいて、
「一枚で一段、5キロだね。値段は……」
……ええ、直売とはいえなかなかお値段はよろしくてよ。
「5キロでお願いします」


《参考に》
梨の値段は農園直売といえど、いわゆる『公定価格』があります。
生産者の組合で定めるのですね。
品種によりますが、5キロあたり2000〜3000円です。


「何詰めるかい? 幸水豊水
「どっちもおいしいですよねえ……」
「じゃあ、8玉入るから半分ずつ入れとこうか、4つずつ」
「よろしくお願いします」
食べる人がわかりやすいように包み紙で色分けしとこうねと心配り。
女将さんが中蓋に色の解説を書いていて、なんとなくアットホームです。
「今日何曜日だったっけ?」ご主人。
「火曜日ですね」
「ああ、温水プールの日だ。おかあさんもう少ししたら○○さんと一緒に来るよー」
「……! ありがとうございました!! もう行きます!!」
三十六計なんとやら、です……。



道中コンビニにて飲み物の補給、好物は無加糖カフェオレです。
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朝食が梨三玉という素敵な旅の始まりは突き抜けるような青空で、
『ああ……仕事したくないなあ……このままドライブにでも出ちゃいたいよなあ……』
自分が今まさにそれをやっていると気付くのにコンマ三秒、
なにゆえそんなことを思い立ったのかと考え始めるのにコンマ七秒、
送る日々と追われる疲労に思いを馳せ空を眺める五秒間、
その後ゆるんだ表情で「のへえぇ」っとエンジン再始動は三〇秒後、
うん、自分は今日も元気です。


休日のドライブともなればのんびりしたい心境もあるので、
目的地までは急がずに、せめてのんびりゆっくり楽しみたいものです。
国道122号線は利根川を渡り、南下すること数十分。
カーナビの表示と自分の記憶を照らし合わせて、

「すこし、寄り道していこうかな……」

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加須は駅前通りの和菓子屋さん、『船橋屋菓子店』さんです。
加須の名産には和菓子が二つありまして、
一つは「いがまんじゅう」
もう一つは「塩あんびん餅」なのです。

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塩あんびん餅(小)310円。
(小)とありますが、一般的な大福と比べるとかなり大きいです。
ちなみに(大)は直径15センチくらいあります。


船橋屋さんでもいがまんじゅうは扱いがあって、それをお願いしようと思ったのですがショーケースの中にありませんでした。そこには札と空席が。
「ん、今日はいがまんじゅうなし?」
「あるよ。頼まれたらつくるんさ」
……ある意味いい意味オーダーメイドです。
「すぐできるよ。いくつだい?」
「んー……」
いがまんじゅうより塩あんびんのほうが話題性があるかも知れないなあ……。
「やっぱ塩あんびんで」

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(小)を三つずつ、二つに包んでいただいて。自宅用とお遣い用に。


《参考に・2》
いがまんじゅう:饅頭の外側に赤飯がまぶしてあります。おめでたい感がありますね。
塩あんびん餅:砂糖のかわりに塩を使った大福です。



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のんびりしてたら加須駅前は12:30です。
予定は朝霞に13:00。


……どうしよう。
途方に暮れて駅前の写真などを撮っていたら携帯に着信。


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……え? えええええ?
ほとんど一本道(主要幹線道路)なのに迷いますか?
(本人も居室の宇都宮から朝霞に移動中でした)
(後で聞いてわかりましたが、確かに迷います、国道4号)

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こちらの到着予定時刻とそれほど変わらない様子。
結果としてはちょうどいいかなと。




現地は朝霞、相手方のご自宅に到着して合流。
既にご家族は家財道具と共に仮住まいへ移転後という状態でした。
本人もまた、すでに住まいは転居先の宇都宮なので残されているのは片づけきれなかった趣味の品がいくらか。
見たままの印象としては
「撤退後の前線司令部」
急ぎ突貫でやったもんだから、
重要書類も資材も武器弾薬も取りこぼしが多々あるまま、
とりあえず最優先の本隊だけは完了していますという状態。


……
………正直言うと、
もう全部箱に詰められてて、それを積み込むだけだと思ってました。
取捨選択して箱に詰め込むところからやるとは。


うん!
乗りかかった船です! っていうかその船、自分の車です!
本作戦は「ケ号作戦」目指すは兵員の完全撤退です。
撤退戦において兵の取りこぼしがあったとなっちゃあ、
こちとら船舶工兵は大発乗りの矜持に関わります。
行きがけの駄賃だ、やったるぜー!


で、ここでかわいい助っ人さんが。


相手方の甥御さん。
妹さんの息子さんは現在保育園に通う頼もしい助っ人さんです。



もう、
この甥御さんがものすごくかわいいのです。
片付けで忙しい相手方に「にいにい」と呼んでなついて離れようとしません。


……あー、わかります。
自分もチビッコ時代、親戚の「おっきなおにいちゃん」「おっきなおねえちゃん」になついてぴったりくっついて離れようとしない時期がありましたから。
(以降本文では「にいにい」「甥御さん」と表記します)
にいにいは片付けの時間が限られててケツカッチンだから、甥御さんにはそんなにかまってられないんですよね。それもわかります。


「これ(ガンプラ)やるから、あっちで一人で遊んでな」
『あっち』に行かない甥御さん。
……甥御さんはにいにいと一緒にいたいんですよね。


ともあれ片づけないとどうにもならないものですから、それはそのへんこれはこのへん。分けて隔てて考えて、実行に移します。


とはいえ作業は最初から難航でした。
撤退後司令部の残置物は本人の趣味に関わる品がほとんどでして、
主力が撤退した後では『放棄』『救出』の線引きは当人にしかできないことなのです。
この場に於いて自分が何をできるかというと、
実は何もできないのです。


甥御さんと遊びながら「明らかにゴミ」と判断されるものを拾い集めることに。
このように書くとたいそうゴミだらけの中にいたように感じられるかも知れませんが、実際にはちょっと違います。

引っ越しってものすごくゴミが出るんですよ。
コレはどんなに整理整頓されている方でも必ず出ます、
信じられないくらい。

引っ越し自体は完了しているので、今日この日の作業で自分ができることは
「燃えるゴミ」
「燃えないゴミ」
を集める程度に。

共に戦う甥御さんはチビッコさんなので、
あまりむつかしいことはおねがいできません。
ぱっと目についたものをお願いすることに。
「電池を集めよう」
使用済み乾電池を散見したので。


片付けで取捨選択をするのは「にいにい」の担当なので、その後の作業を担当。
・可燃不燃でゴミ袋を作り、分けて入れる。
段ボール箱を潰して畳む。
・明らかに趣味品ではないもの、工具、文具をより分けて一箇所にまとめる。


甥御さん、
「ねえ、これはー? これはー?」
趣味品を手に自分のところへ来たりするので、
「あー、それはにいにいに聞いてみないとわからないなー、きいてごらん」
回答その一。ごみでした。
回答その二。保管品でした。


そんなこんながありつつ、作業は進み、
時に甥御さん、ごみで分けたものを手にとって
「もえないごみー!」
「そうだなー。もえないごみはあっちの袋に入れるんだぞー」
「どっちー?」
「(指さして)あっちだー」
とてとて
「これー?」
「それはもえるごみだー」
「これー?」
「そうだー。それにいれるんだぞー」


必要になるかなあと思って、自前で軍手を用意していたのです。
自分と、にいにいの分。
甥御さんは当然気付きます。
「てぶくろー。○○(本人の名)のはー?」
「そっかー。○○のがないなー」
自分の車から予備を取り出して、
「ほら、○○のてぶくろだぞー」
大人用軍手ですから、チビッコの手にはぶかぶか。
甥御さん、ご満悦。


この時点で、なんとなく気付いたことがあって、
自分、あずまきよひこの描く世界の住人になってないか?
なんとなくリアル『よつばと!』そんな気がします。
……まあ、にいにいの作業が進むならいいですよね。



彼我の境地、という言葉があります。
自分、引っ越し経験は9回ですから初回の方にその経験を買われることはあり得るとも有り難いとも。

自分のかつての経験、それが誰かのなんらかの足しになることがあれば、喜んでお手伝いさせて頂きたいと思うところもあるのです。


経験が活かせればいいのだけれど、そう思っての助太刀だったのですが、結果としては甥御さんと会話して遊んでいるだけに終始してしまっていたり。


何の役にも立たなかったかな。
とはいえ甥御さんと遊んでいた分、
本人はある程度作業出来たんじゃないかあとは思うのです。


チビッコさんはかわいいなあ、と思います。
大好きな「にいにい」と一緒にいたいんですよ。
「にいにい」が忙しいから、一緒にお手伝いしたいという気持ち。
大人視点で見ちゃうとね、
結果としてはいない方が作業がはかどるのはわかってるんです。
「大好きだから」
「一緒にいたいから」
一生懸命お手伝いしようとするのですけれども。

……ね?


本日撤収時、甥御さんのお母さんであるにいにいの妹さんからいただいた言葉。
「かまってくれてありがとうございます」
……ああ、母は強し。
見なくてもわかってるところがすごいですね。



ちょっと長くなりましたね、本日の日記。




エピローグ的に積み込みの話とか。


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量としては物足りないくらいに軽かったです。


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軽いとはいえど、割れ物重視な内容なので取り扱いには慎重を必要としますね。



いただきました。

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にいにいの親御さん(あとたぶん甥御さんのお母さん、つまり妹さん)から。ビール。ありがとうございます。


あと、大失敗しました。
甥御さんのお母さん、妹さんから「うちでお夕飯食べていってください」とお誘いを受けたのですが断ってしまったのです。

夕餉の席で客人招き入れるって、そうそうたやすいことではないはずなのに。
お誘いいただいて断るって、
それってないよなと。

後悔は先に立たず。



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帰路は高速で。撮影テストを兼ねて。
きれいに撮れたら楽しいんだろうなと思います。




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里子に出した銃が箱だけ帰ってきました。うーむ、複雑な気分。