軍事ネタ大好き


あまりの寒さにストーブ二台稼働。神沢です。


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光芒のア・バオア・クー Ark Performance 角川書店  角川コミックスエース


後方、そして兵站に関する着眼点。
なかなか面白いです。



軍隊モノですと、兵站部門ってあんまり人気無いんですよ。
一つには戦闘組織である軍隊の中で戦闘に関わらない部門であるからなんですね。
自分の専門だと日本軍なのですが、


「主計・輜重が兵ならば、トンボちょうちょも鳥のウチ」


なんて言われてましてですね。
主計というのは会計を専門とする事務屋さん。
輜重(しちょう)というのは輸送を専門とする運転手さん。
そんなところです。
どちらも前線には出ないコトが多いです。
(例外はあります。軍艦の炊事担当は主計兵ですし、兵員輸送のトラックは前線でも走ります)
どちらにせよ、武器や戦闘に携わることのない兵科ですから、
華やかさはなかったんでしょうね。


最近のコミック事情では速水螺旋人さんが『大砲とスタンプ』という兵站モノを始められたのでそちらも面白そうかなと。


出だしのガンダムとは離れちゃうのですが、軍隊の兵科における主計科。
その世界はなかなかにおもしろいのですよ?
個人的な好みとしては海軍の主計兵、特に軍艦の中で炊事をしている人たちの手記などは読んでいてとても興味深いのです。


拙宅にも蔵書があるのですが、ずいぶん昔の品なので……。
捜してみよう。
あるかな、かな。


あった。


海軍めしたき物語 (新潮文庫) [文庫]
海軍めしたき総決算 (新潮文庫) [文庫]


文庫化されてました。よかった。


著者の方は入営前に(入営:軍隊に入ることを入営と呼びます)巷で颯爽と歩く海軍軍人さんの姿を見て、その部隊章にペンのマークがあったのを憶えていて、アレはかっこよさそうだと。そしてその徽章の元である主計兵になったのですが、いざ入ってみたら朝から晩まで軍艦の中でごはん作ってます、という日常。


兵隊なのに鉄砲を持たず、その代わりが包丁。
飯炊き新兵は自分の包丁がないものですから、先輩から「オネガイシマス!」と奪い取るわけです。そしてその後、後輩から「オネガイシマス!」されたり。


軍艦の鍋釜は大きいのですが、炊飯の水加減は飯盒と同じ手首が埋まるまでとか、味噌汁のダシのいりこは茹でないで前の晩に水を浸した鍋に入れておくと翌日にはダシがとれているとか。
うーん、要らないムダ知識。大好きです。


ここはえろげー系テキストサイトですのでそのテの話もしますが、慰安婦のことも書かれていますよ。大枚はたいて慰安婦のいるところへ行ったのだけれど、そして一番高い慰安婦をお願いしたら西洋の人で、高貴につんと澄ましている風情に怖じ気づいてしまい、時間いっぱいまで何もできず、帰隊したら仲間に「どうだった? 一番高いの、行ったんだろ?」「まあね? それなりだよ」(←実は何もできなかった)など、笑ってしまうところもあり。


厳しいところもあります。
病気だったかな、艦から離れ陸に上がっていた時にいざ決戦、
敵が攻めてくるという段になり、小銃を持って弾薬を身に帯びるのですが、
弾薬嚢(だんやくのう:ポーチ)は小さい三十発入り一つだけしか身につけないんです。
(歩兵は小三十発入り二つと大六十発入り一つを身につけます)
「この三十発使い切るまで自分の命はないだろう」
と。


海軍は良くも悪くも生死感がさっぱりしてるんですよね。
軍艦なんて一つの船に何百人何千人が共同生活してて、それで戦に赴くわけです。
沢庵切ってる間に魚雷喰らったら一蓮托生、艦長のお偉いさんから下っ端の自分まで一緒に艦と命を共にするワケです。自分だけ、なんて望みはそこにはありません。
(特に軍艦の厨房なんて戦闘に関わらない艦の奥にありますから、逃げようにも逃げられないのです)


初めての戦闘は五目おにぎりだったそうです。
ああ、なるほどなと。
戦闘中なら食事どころではありませんが、
警戒中の食事、簡単に口にできて栄養が行き渡るのなら、五目おむすびは選択として的確ですよね。
航空糧食の話も出てきます。
どのような品がいいかと試験に出てきて、答えられなかったという……。
正解は巻き寿司なんだそうで。
水分確保ということで乾パンより米、栄養調達ということで具が巻ける巻き寿司なんだそうです。


……まあ、航空機に乗せる飲食品としては零戦のエースパイロット、坂井三郎さんも失敗談があります。零戦の中でサイダーの瓶を開けたら空気圧の関係で窓という窓にサイダーが飛び散ってしまい、即乾燥。固まった糖分で前がまったく見えませんという……。読んでる分には面白いのですが……よく生きて帰って来れましたね。



軍隊モノは知れば知るほど面白いです。


料理ネタ一つにしても、
お袋の味と言われる肉じゃがが実はビーフシチューの似せ物だったり、
カレーは軍隊が手軽に栄養を摂れる物として採り入れたのが始まりだったり、
餃子は大陸に進出した軍隊がその土地の人ごと持ち帰ってきたりなど。


日本の文化ってすごいなと。
他文化を柔軟に受け容れることができる文化って他の国ではあまり見られません。


考えてみれば、
『漢字』って、字面から見れば『漢』の『字』ですよ。
……でもそれ突っ込むとひらがなカタカナの話になっちゃうしなー。


興味を持つといろいろなことが楽しくなると思った最近のことです。






あ、
本日の最後に。


真剣で私に恋しなさい!』がアニメ化されるそうなんですが、
えろアニメじゃない方を願います。


嫌いじゃないけどえろアニメ。
原作のおいしいところを潰してしまっているモノが多いよなあ……と。



うん。