とある休日の書籍紹介


ライトアップ自粛とはいえ、夜桜は本来月明かりでいただくものなのではないかと。神沢です。




本日は書籍紹介で。よろしくお願いします。



20110413193206
壬生義士伝 原作・浅田次郎 漫画・ながやす巧 講談社 KCDX



新撰組を題材に用いたコミックスはこの劇画調のモノから少年モノ、BLモノとさまざまに品がありますが、
この、
この壬生義士伝はシブい! シブ過ぎます!
原作が浅田次郎とのことで、『天国までの100マイル』『ラヴ・レター』『鉄道員』などに代表される、いわゆる『浅田節』に傾倒してしまった自分にはもうただただ眼福です。
ながやす巧さんはかつて『鉄道員』のコミカライズを手がけられてたこともあり、
『キハの笛は泣かさるでね』この、『鉄道員』を簡潔に表すセリフには泣かされてしまいました。うん、『浅田節』自分なりの解釈にはなってしまうのですが、いわゆる『男の生き様』なんですよ。


壬生義士伝
新撰組隊士は主人公の吉村貫一郎
学もあり、剣の腕も立つ強者です。
ですが、
彼が新撰組でその名を知られていたのは、『守銭奴』という彼の一面。
隊士達から嘲笑されるまでに彼の金銭への執着は強かったのでした。
どうして彼は、
なにゆえ彼は、
そこそれまでに金銭に執着していたのでしょうか。
……ネタばれ以前に有名な話ではありますのでお話ししてしまいますが、
吉村貫一郎、貧しい下級武士の生まれだったんですね。
幼い頃から幸せになるべく、貧しさから抜け出すべく、
剣も学もひたすらに学んだのですが、彼がいた盛岡藩ではそれは叶わぬ夢と知り、脱藩します。そして新撰組へと。
守銭奴』『出稼ぎ浪人』などと、隊士達からも蔑まれていた吉村貫一郎
得た報酬は国元の奥さん、こども達のいるところへと送金します。
身代金とはよくいったモノで、
自分自身のすべてをかけて、新撰組でお金を稼ぎ、くにもとの家族へ送金するのです。
……世のお父さん達が通勤電車の中で愛読する理由がものすごくよくわかるなあ。
がんばれ日本のお父さん!



20110413195252
WORKING!!(9) 高津カリノ スクウェアエニックス ヤングガンガンコミックス


身内仲間うちはSONETさんからの借り物です。いつもありがとうございます。

『ボコデレ』こと、男性恐怖症なあまり男性に暴力を振るってしまう(容赦なく殴る)伊波さん。でも主人公の小鳥遊宗太には惚れてしまい……。
9巻に入ってから伊波さんの男性恐怖症が薄れてきたということで、伊波さん自身が悩んでます。
惚れた相手の宗太は男性恐怖症克服の相談相手。
治ってしまえばめでたいことなのですが、
宗太に惚れてしまっている伊波さんとしては、やや複雑。彼との関わりが無くなりますから。
日本刀常備の八千代さん(チーフ)に惚れてるキッチン担当の佐藤くん。
この二人の進展も見逃せません。
登場人物の誰も彼もが一癖二癖ある人たちばかりなので読んでいて飽きないなあというか、気の抜けない楽しさのある一品です。
……自分としてはアニメのOP、作詞がサエキけんぞうに驚きが。『平成教育委員会』に出てるだけじゃなかったんですね。
今アニメ版観てあらためて気付いたのですが、八千代さんの刀、太刀の提げ方ですね。
(腰に差す日本刀は刃が上に来ます。太刀は刃が下に来るようにして腰に提げます)



20110413193153
ただいま独身中 辻灯子 芳文社 まんがタイムコミックス


4コマです。
辻灯子さん好きだなぁ。
『主人公 竹本楓(30)独身OL 「そのうち何とかなるだろう」な日々です』
この一文で全部説明できちゃうくらいに独身OLモノです。
平成当世、今はOL“Office Lady”とは言わないらしいのですが。
辻灯子さんの織りなす世界観は以前ご紹介した、


20110413213657
ただいま勉強中 辻灯子 芳文社 まんがタイムコミックス


これでもののみごとに辻灯子さんワールドに絡め取られてしまいまして、今や虜です。叶うのならば『ただ今勤務中』というシリーズがあるらしいのでそちらが手に入ればなあ、と、思い起こすに枕が濡れたり濡れなかったり。


『ただいま独身中』
んー、『勉強中』よりは大人向きかなあと。
主人公の竹本楓さん、ちょっと落ち着きのない性格で独身OLは三十路入り。
まっすぐな頑張りやさんで通してきたために、ご自身の恋愛魅力にはまったく気付いておられません。
かつての同級生(男子)から、『イイなと思ってた』という発言が引き金で恋愛に目覚めたりするのですが、既に相手は売約済み(婚約者がいます)
はたから見てれば恋の仕方も相手も手遅れなのですが、
それでもやはり楓さん、意識し始めたら止まらないものでして……。
掲載誌と読者層考えたら不倫展開にはならないと思うのですが。
読んでいて本当に願います、楓さんには幸せになって欲しい!
いいお相手が見つかればいいのだけれど。
しかしながら楓さんの頼れる上司、東課長(41)はバリキャリ独身一直線で自分のマンションまで買ってたりするものですから……平成当世のシングル事情というのもなかなか興味深いモノですね。



20110413193135
西炯子のこんなん出ましたど、見る? 西炯子 小学館 フラワーコミックススペシャル


待ってました。西炯子さんの初期短編集。
4コマもあり、ストーリーモノもあり、一冊で何度もおいしい一品です。
漫画好きな方ならば著者買いはあり得る話なのですが、
作家さんの初期の短編集は作家さんの色が濃く出ているので好みなんです。


西炯子さんの手がけられた品でおすすめなのは、
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娚の一生』『ちはるさんの娘』ですね。


娚の一生』は男子なら一度読んでおけ!
そう申し上げたいくらいな一品です。



20110413193306
関根君の恋(2) 河内遙 太田出版 fxcomics


関根君2巻出てたんですか、ちょっとびっくりしました。
恋愛鈍感人間なんですよ。関根君。
高スペックイケメンな関根君、
行きたくない飲み会(という名の合コン)に行くとモテ度がすごいのですが、ご本人はまったく興味がない、というか、読んでいて「キミに性欲はないのかい?」と、聞きたくなるくらいの鈍感さです。
でも、恋愛本能は関根君にもあり。
女性視点から描写した男性の恋愛感覚の懊悩、でしょうか。
男性向けえろ漫画では射精至上主義でえろ描写が重要になるのですが、
女性作家さんの描いた男性の恋愛心理。
……。
実に微妙に気付いていないところを指摘されている気がします。



20110413193242
螺子とランタン 桂明日香 角川書店 角川コミックスエース


とある豪邸に家庭教師として雇われた主人公、ニデル。
幼いながらも両親が不幸に遭い孤独の身となった幼女、ココの家庭教師です。
ココはその身そのままで爵位を持ち、スラム生まれでコンプレックス持ちのニデルとは対照的です。
……んー、
持たない者は持つ者に憧憬と羨望、そして嫉妬を持ちますが、
持つ者は持たない者が持つゆえそれに苦しむ。
主人公のニデルはスラム生まれでココのような生まれ持って爵位を持っている人物にはコンプレックスがあるのですね。
しかし本文は家庭教師。
しっかりきっちり、ココに学ばせなければなりません。
設定マニアが見たらいろいろ突っ込まれるのかも知れない物語なのですが、
この物語、ココとニデル。
この二人の仲は身分や階級で人は計れないのです。
でも、ちょっと……ツッコミどころはあります。
それはご愛敬で。


20110413195744
地獄のアリス 松本次郎 集英社


来た来た来たー!
近未来、荒廃した地、跳梁跋扈の無法者。
ある意味、昔懐かしい『世紀末モノ』ですね。
北斗の拳』にしろ、『AKIRA』にしろ。
イマドキ平成ドキでアリなんですかいのう、とは思ったのですが、
やはり、
やはり、
おもしろい!




最後に。



20110413193316
義母と娘のブルース 桜沢鈴 ぶんか社


今回の一押しです。



うん。