陸軍と海軍の違い(時限日記)
陸軍と海軍がいかに違うのかとしみじみ。神沢です。
筆者は陸軍重機関銃部隊の指揮官だった方です。
島に上陸してすぐに、
「対空警戒任務にあたれ」
と命令されるのです。
輸送船から歩兵や物資が次々に陸揚げされていくその中で。
上陸した島は既に日本軍の制圧下。
そこには海軍の陸戦隊が先にいました。
海軍が接収した現地の建物があり、
その建物の屋上では海軍の陸戦隊が対空警備に当たっていました。
筆者と同じ、重機関銃部隊です。装備も同じ。
すぐに自分の部下と武器を集めて陣地をつくり、
対空警戒に当たるのですが
遠目に見ても気付く違和感。
海軍の部隊、
設置している機関銃には布がかけられていて、人影も見えない。
違和感の正体は海軍陸戦隊との会話で明らかに。
「昼寝してた」
えーっ!
敵機が来たらどうするんだ!
昼寝していたら間に合わないではないか!
「そんなの、こっちの射程に入る前から爆音が聞こえてきますよ。それから用意すればいいだけの話でして」
…
……
読んでいて笑ってしまうというか、
陸軍の真面目さと海軍の柔軟さにはずいぶんと違いがあるのだなあと。
陸軍さんはホントに真面目で、
『対空警備やれ』って言われたら、
すぐに陣地作って機関銃構えて弾込めて、
全員でずーーっと空を睨んでるんです。
海軍さんは良くも悪くも行き当たりばったり。
理由は戦闘する以前に海がお勤めの場所だから。
水平線広がる海原では荒れる日もあれば降る日もあるわけですね。
基礎を忠実には当然なのですが、
応用が問われる現場です。
その違いが読んでいておもしろいのです。
読んでいくと海軍が陸軍に自慢していたり。
「我々は食べ物がいっぱいあるぞ、米に肉にサイダーにチョコレート、これは艦(フネ)から送られてくるのだ。コーヒーもあるぞ」
あー、
確かに陸軍にはそういうのないですねえ。
海軍陸戦隊って、
基本として所属している艦の乗組員扱いなんですよ。
臨時編成して艦から降ろしてますという方達なんです。
なので補給は全て所属している母艦から。
母艦は母港を持ってますから、補給物資は全てそこから。
(南方戦線で陸軍の兵隊が多数餓死しているのに海軍の基地には米がたくさん備蓄されてましたという話は多いです)
こう書くと海軍って陸軍よりよっぽどステキなんじゃないかと思えますけどね。
海軍は海軍で厳しいところもありました。
ここに書かれてますけれどもね、
海軍さんの生活。
『住めば都というが、艦内生活だけは別だ』
一、男だけの社会
二、階級的支配で自由がない。あるいはあり過ぎる
三、生活の場が墓場である
四、居住区そのものが戦闘を第一義とし、その谷間に生活がある
またその反面、
一、男の社会だけに秘密がない
二、死ぬ時は諸共(もろとも)という相互連帯感がある
三、相手を理解する
『などが味わえる』
なんだそうで。
これ、
もし所属する母艦が沈みでもしたら、陸戦隊の人たちみんな、
「なんでお前ら生きてるの?」
という話になります。
同じ軍隊とは言えど、
陸と海とではモノの捉え方考え方は違うモノでもあり。
なかなかに興味深い話ではあります。
うん。