カレーの作り方

この段では今回自分がつくったカレーについて書かせていただきますが、
厳密にはレシピになっていません。


作り方は基本的に市販カレールー、箱の裏面、
そこにあるやり方と同じです。


全体の進め方をざっと流しながら自分なりのやり方を要所要所でご案内します。



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材料はだいたいこんなところです。


仕上がりの味を一言で説明すると、
「おとな向け甘口」
というところです。


ルーは指定です。
『ジャワカレー』の辛口です。
今回は同レベルの辛さ、スパイシーブレンドという品を使っています。
理由を今のうちお伝えしますが、全体的に甘みを出す調理を行います。
なのでルーは市販で一番辛くて香辛料の効いている銘柄、ジャワです。


作り方の説明を行うので最初にネタばらしさせていただきますが、
甘みと辛みの両方を意識してつくります。


狙うのは味覚の錯覚です。


あくまで自分の経験談ですが、
甘みと辛みの両方を用いると最初に味覚に乗るのは甘みです。
ですが、
甘みは舌からすぐにひくのに対して辛みは後まで残ります。


辛いものを食べた後ってけっこう舌に長く残りますよね。
ですけど甘いものを食べた後って舌にはそれほど長くは残りません。


最初の一口目は甘いのですが、
食べ続けていくと、
「……あれ?」
目の前のカレーがだんだん辛いことに気付いてくる仕掛けです。
味が変わっていくんじゃないんです。
食べてる人の味覚が変わっていくんです。


さ、はじめましょう。


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野菜を洗って剥きます。
具は王道のじゃがいも、にんじん、たまねぎ。
それと個人的にきのこが好きなのでしめじ。
後述しますがトマトベースなので合わせてなすです。


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切ります。
大きさは見たまま。小さめですね。
ほぐしたしめじの大きさにあわせている部分もあるのですが、
スプーンで掬ったときに具が二つ三つ乗るくらいを想定しています。


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お肉は豚です。ポークカレーですね。


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バラ肉なのは歯ごたえを求めて。
「カレー、食べてます」
「今、肉、食べてます」
そんな食べごたえを楽しんでいただきたいのです。


牛だと肉汁がルー全体に味を染めてしまいます。
鶏だとボリューム感に欠けてしまう面があります。
まあ、好みではありますが。


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たまねぎはみじん切り。


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このように。
みじん切りとしては少々粗めでしょうか。



さてお肉です。


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バラ肉をトレイから出して逆さまにしたところ。
見ての通り、かなり脂があります。
テレビ番組の『でぶや』なら
「ああ……脂身のゲレンデだぁ」
と、感嘆に浸るところ間違いなしです。
実際全投入するので総熱量はすごいことになります。
体重計の気になる御仁には目の毒な写真ですね。


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この段階で包丁研ぎ直し。まじです。
これだけの脂身、そう簡単には切れません。
切っている最中にも包丁に付いた脂で切れ味が悪くなるので、その都度熱湯で脂を落としながら切り進めていきます。


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赤身より脂が多いです。
この脂、煮込んでいくと溶けるので食べている方には
「言われてみれば他のカレーよりボリュームがあるような……」
その正体です。


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お肉とたまねぎ。


さてここで包丁さんまな板さんお疲れ様でした。
切る作業は終わりです。


火を使う前に煮込みの準備に入ります。


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トマトの水煮缶。
一番の特徴だと思うのですが、水を使いません。トマトで煮込みます。


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水煮缶から具を取り出して、潰します。
手でつかんで握りつぶします。


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このくらいの程度に。
煮込みでほとんど溶けますが、固形の味を主張しない程度の食感が残ります。


さて炒めます。
炒めの段階は手際が勝負。


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火の通りづらい根菜のにんじんとじゃがいもから。
自分の場合煮込みの鍋とは別の鍋で炒めます。
煮込みの鍋を焦がしたくないという理由です。
じゃがいもの表面に火が通ったら煮込み鍋に入れます。
表面に透明感が出たらそれでOKです。
なすとしめじは炒めません。


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次いでたまねぎ。
これも表面に透明感が出るあたりで。


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根菜にある程度火が通っているので煮込み用の鍋でも同時進行で炒めを行います。
このやり方は慣れている方のみ行ってください。
二つの鍋を同時進行で炒め調理するのは経験が必要です。


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あわせます。


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お肉を炒めますよ。
これも表面に焼き色が付いたらそれでOKです。


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表面に胡椒を振ってみたら……。
ものすごくいい香りです。
もうカレーつくるのとか辞めてこのまま塩胡椒でご飯のおかずにしてしまいたい。
どんぶりめしが何杯いけるだろう。
そんな誘惑に駆られつつ、炒めます。


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合流。
メインキャストが勢揃い。


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煮込みます。
先ほどのお手製トマトペーストを投入。


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なすとしめじは炒めずそのまま煮込みます。
火の通りが早いのと、その分焦げやすいからというのが理由です。


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今回トマトの水煮缶とは別に煮込みに使用した品。
野菜ジュースです。
トマトジュースでもいいですし、水煮缶を増やしてもかまわなかったのですが、野菜の甘みを引き出したいなあと思って登場していただきました。


かならず食塩無添加のものを使ってください。


トマトジュースでも、野菜ジュースでも、どちらを使うことになってもです。


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さてここからが勝負どころは煮込みどころ。
勝負どころ自体は調理を始めた瞬間からずっと続いていますが、
先ほどまでの時と手際を求められた炒めからは別のラウンドになります。
この段階では鍋の水分が少なくて不安になるやも知れないのですが、大丈夫です。
具材それぞれからしみ出した水分とそこに含まれた野菜のうまみが鍋の中でどんどん調和していく頃合いなのです。


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ここで隠し味。
ミルクチョコレートを入れます。


この隠し味についてひとつ警告とお願い。
ここまでの段階で自分が記述したとおりに調理した方だけ隠し味を行ってください。
なにしろ煮込み始めたばかりです。
この段階ではまだ味付けをしていないので仕上がりは自分にも想像が難しいのです。
隠れていない隠し味になってしまったらその先には悲劇しかありません。
最初はなにも入れなくていいと思います。隠し味。


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割り入れて溶かし込みます。


あとはふたをしてのんびり待つだけ。
焦げないように時折かき混ぜます。


混ぜるたびに鍋からトマトとチョコレートの香りがふんわりと立ち昇ってきます……。
次の目安は、じゃがいもに火が通ったら。


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頃合いになりました。


ルーを入れます。


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黄色い粉は市販のルーにおまけで付いていたガラムマサラ
ルーは割って入れてください。
溶けきるようによくかき混ぜること。
ゆっくり、しっかり。
ゴールは間近なので焦らないことが大切です。
ルーを入れるときには火を止めて、溶けきったら仕上げです。


弱火で、じっくりとろみを待ちます。
とろみはルーが出してくれます。


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味見。


……うん。
狙い通り。



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できました。


不肖・神沢正道のお手製カレー。
完成です。


なかなかにおすすめなので、興味のある方はぜひ。
水の代わりに無塩のトマトジュースを使うだけでもけっこう違うものなのですよ。


うん。