とある元旦の書籍調達

戦地メンタルな12月の運輸業界も年を明けようやく平穏な日々となりました。
神沢です。


本日はマンガ紹介などを。




20110102220002
ドントクライガール ヤマシタトモコ リブレ出版 ゼロコミックス


今回の調達で一番のおすすめかなあと。
主人公はこの表紙の女子高生、たえ子。
ひょんなことから親の知人宅へ居候する身となったのですが、
その方、在宅ワークはイケメン31歳、枡田
なぜか裸族。
家の中ではまっぱです。真っ裸。
裸族であること以外はあらゆる面で高スペックな枡田なのですが、
なのになぜか裸族。
この二人の共同生活模様がおもしろい、というかひとつひとつのネタに大爆笑です。
枡田の友人で陣内というイケメンパティシエも出てくるのですが、
一見まともそうなこの人もやはりという方で。
とにもかくにも肩肘張らずに笑える一冊なので、
これはぜひおすすめです。




20110103204546
おとこの一生 西洞子 小学館 フラワーコミックスα


題名の『おとこ』という漢字、『女』+『男』という文字なんですが、
自分のPC、ATOKさんでは手書き入力でも出てきませんでした。
漢和辞典引いてコード入力すれば出てきそうな気もしますがめんどくさい諸事情によりひらがなで。


お話の内容といたしましては単行本裏表紙を抜粋。
『東京の大手電機会社に勤める堂園つぐみは、長期休暇を田舎の祖母の家で過ごしていた。そんなある日、入院中の祖母が亡くなってしまう。つぐみは、そのまま祖母の家でしばらく暮らすことに決めるが、離れの鍵を持っているという謎の男が現れて……!? 晴耕雨読的女一匹人生物語、第一巻!!』


シブい。シブいです。


35歳の独り身キャリアウーマン、つぐみ。
50歳の大学教授、海江田。
それまでの人生の道のりになにもなかったわけではありません。
成り行きで始まったような共同生活(海江田は離れで寝起きしているのでひとつ屋根の下というわけではないのですね)なのですが、
つぐみの視点で紡がれていく物語。
祖母と何かの縁があったというコトだけはわかるが、それ以外がブラックボックスな海江田。そして語り出さないからわからないつぐみの過去。
いやー、自分もこの歳(アラフォーです)になってわかる世界というものもあるもので。
抱えている過去、迎えている現在、見えていない未来。
そりゃあ人生いろいろありますよねえと、
思うに胸中に去来する不確かな足場というものを感じます。
そんなつぐみの日々と胸中に一筋の光明を差し出し続けるのが海江田なのですが、
その明かりに頼ったり拒否したり甘えたり。
人生、モノゴト全てが当人の納得ずくめで進んでいくわけがないのですが、
それでも一歩一歩の歩みを進めていかなければならないわけでして。
いやー、ほんとうにシブいです。


今回の調達では一番自分向きだったなあと。
拙宅で自分の蔵書を読む身内仲間うちは手を出さないジャンルですね、
萌え系売れ線系とはちょっと違います。
安易にカテゴライズしてしまうと、『オジサマ好き女子にうってつけ』『コレが大人の恋物語』となるのですが、いやあそれがなかなか。そうでもないんですよ。
版元がフラワーコミックスと言うだけあって女性向けなのかも知れませんが、
これはぜひぜひにでもおすすめです。
「マンガ? なんでも読みますよ?」そう言う方ほど意外と守備範囲が限られていたりもしていて。



20110103204523
波打ち際のむろみさん 名倉啓二 講談社 KCコミックス


久しく手を出していなかった少年誌ものです。
いや面白い!
面白くないものは紹介自体しませんが、前述2作品とは別の角度から観て面白いですね。
入り口(門戸)が広くて手に取りやすい。
一話完結になっていて手軽です。
少年誌の作り方と青年誌の作り方の違いを今回しみじみ感じました。
どっちも難しいんですよね。


内容。
むろみさんは人魚です。
毎回むろみさんが主人公の少年に釣り上げられるところから始まります。
もしくは出会ったり、ときに少年ではなかったりすることもありますが。漁船とか。
人魚という存在をがっちり取材して噛み砕き呑み込んで、そして創り上げているなあと。
人魚の歌声を聞くと船が沈む、
このあたりの伝説をバミューダ海域に当てはめて
「あそこにはコンサートホールがあるから」
元寇の神風も
「バンド組んでライブ活動やってた」
笑ってしまいます。
少年誌という立ち位置では元寇襲来は学校で学ぶ時期ですよね。日本史。
それに合わせての話題としますと学校の勉強も少しは興味が増えるのかなあと。
ネタの出し方選び方、そして読みやすさ手に取りやすさ。
少年誌ってすごいです、ほんとうに。



20110103204556
ネコあね 奈良一平 講談社 KCコミックス


萌え系かなあ?。
しかし自分がそうカテゴライズしてしまいますとこれから読む方も先入観というか、いわゆる『色眼鏡』が入ってしまうことなので。


祖母と二人暮らしの少年、銀ノ介。眼鏡学ラン。
飼い猫の杏子(あんず)が長生きを経て猫又になり、人となります。
うん、すごいシュールですね。
作品のテーマとしては『家族愛』でしょうか。
人化して自身を銀ノ介の姉と名乗ります。
その理由は何かというと、銀ノ介の傍にいて彼の境遇を知っているからなんですね。
銀ノ介、事故で両親を亡くしています。
かつては猫時代に銀ノ介がこっそり一人で泣く姿も見ており、
おばあちゃんからも
「杏子の方がちょっとだけ年上だろうから…お姉ちゃんとして…銀ノ介と仲良くしてあげてね?」
告げられたこともあり。
がんばってお姉ちゃんしようとするのですが、元が猫ゆえに字が読めなくて弟に教わるなど微笑ましい光景もあります。なぜ字を読みたがったのかは読むとわかります。
一見萌え系に見えますが、
そうじゃあないんだなあと。





うん。